日本臨床外科学会雑誌
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胃adenomyomaの1例
超音波内視鏡所見を中心に
菅谷 純一小坂 健夫喜多 一郎高島 茂樹
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1547-1551

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抄録

胃adenomyomaの1例を経験したのでその超音波内視鏡(以下EUS)所見を中心に報告する.患者は27歳女性で心窩部痛を主訴に来院.胃内視鏡検査で前庭部大彎に約2cm大の中心陥凹を有する粘膜下腫瘍が発見された. EUSでは腫瘍は第4層に不整形の低エコー像として描出され,内部には不均一なエコーの混在がみられた.全麻下で病変部を含めて全層の胃部分切除術を施行し,術中迅速病理診断でadenomyomaと診断された.摘出標本は4.0×3.8cmで腫瘍は弾性軟で境界が不明瞭であった.病理組織学的には円柱上皮からなる嚢胞様あるいは導管様の腺組織を取り囲むように平滑筋の過形成増殖を示す腫瘍であった.また一部には立方上皮からなる腺房形成像もみられ,膵の腺房細胞に類似していた.以上からadenomyomaと診断した.術後1年5カ月の現在,とくに自覚症状はなく健在である.本症の診断上, EUSの有用性を強調したい.

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