1999 年 60 巻 6 号 p. 1629-1633
総胆管嚢腫空腸吻合術後28年目に肝内結石・膵石を合併し,両者に対し同時に根治術を行った膵管胆道合流異常症の1例を経験した.
症例は33歳女性. 5歳時に先天性総胆管拡張症にて総胆管嚢腫空腸吻合術(胆管非切除)を受けた. 24歳時より腹痛を認め,内服治療にて軽快していた. 33歳時,腹痛を主訴に来院し,急性膵炎と診断され入院した.諸検査にて総胆管拡張症を伴う膵管胆道合流異常症(新古味分類の1b型),肝内結石,膵石と診断された.開腹術を行い,肝外拡張胆管切除術・胆嚢摘出術・肝外側区域切除術・総肝管空腸吻合術と,膵石に対し,経十二指腸乳頭形成術・膵石摘出術を施行した.切除胆管,胆嚢,肝に悪性所見は認められなかった.術後経過良好にて退院し,現在結石の再発は認めていない.
嚢腫空腸吻合術後に胆石,膵石形成を同時に認めるのは稀であり,若干の文献的検討を加えて報告する.