日本臨床外科学会雑誌
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下部胆管癌切除標本にて発見された微小膵悪性グルカゴノーマの1例
長井 一信鈴木 栄治花岡 俊仁石田 数逸河島 浩二三原 康生
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1638-1642

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抄録

下部胆管癌術後,標本にて発見された微小膵悪性グルカゴノーマの1例を経験したので報告する.症例は72歳の男性で,発熱を主訴に来院し, USCTで胆嚢腫大,総胆管および肝内胆管の拡張を認め,閉塞性黄疸と診断した.さらにPTCD,胆道内視鏡検査で下部胆管癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理検査で,下部胆管癌近傍の正常膵組織内に1.5mm大の境界不明瞭な結節性腫瘍病変を認めた.腫瘍細胞は,免疫染色でグルカゴンにのみ陽性であり,膵悪性グルカゴノーマと診断した.
グルカゴノーマはまれな疾患であり,そのほとんどは腫瘍径5cm以上である.本例のように5mm以下の微小なグルカゴノーマは極めて稀であり,本邦4例目にあたる.また下部胆管癌を合併するものは,われわれの検索した限りでは,他に報告例を認めなかった.

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