抄録
愛媛県の中山間地域に位置する町立野村病院(以下,当院)も1992年9月に第1例目の腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下, LC) を施行した.最近9年間の当院における胆石症および胆嚢炎症例82例(同期間の全身麻酔下手術症例320例)に対する手術法を検討し,以下のような結果・結論を得た.
(1)中山間地域に位置する当院でもLCは近年増加傾向にあり,全手術症例からみてその占める割合が大きい.また, 94年以降は予定手術に対しては全例, 96年以降胆嚢炎症例にもドレナージ後可能な限りLCを施行しており,胆石症・胆嚢炎症例に対する標準術式として定着している.
(2)当院のような施設では,急性胆嚢炎症例は高齢者に多く,しかも全身状態が悪いため,このような症例に対して,あえて危険を冒すことなくPTGBDやPTGBAなどのドレナージ後にLCを行うのが望ましいと思われる.