日本臨床外科学会雑誌
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両心房縦切開法にて行った左房粘液腫摘出術とmaze手術変法の同時手術の1例
熊谷 元濱中 喜晴平井 伸司三井 法真中前 尚久小林 平
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キーワード: 左房粘液腫, maze手術, 脳梗塞
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2000 年 61 巻 11 号 p. 2922-2926

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抄録

症例は, 58歳,男性.意識消失発作にて近医を受診し,脳梗塞と診断された.入院時の心電図にて心房細動を認め,心エコーにて左房に充満する左房内腫瘍を指摘されたため,手術目的にて当科へ入院となった.術前・術中の腫瘍,僧帽弁の評価に経食道心エコーを用い,両心房縦切開法にて腫瘍摘出術と左房のみのmaze手術変法を行った.病理学的に左房粘液腫と診断された.術後は洞調律に戻り,心エコー上左房径の縮小を認めた.
粘液腫では腫瘍塞栓症の合併が問題となり,また慢性心房細動症例においても,脳梗塞の合併が問題となる.このことより左房粘液腫摘出術の際に, maze手術変法の追加や必要に応じて僧帽弁の手術を追加することは意義のあることと考えられた.
また,左房粘液腫に対しては様々な術式があるが,術後の不整脈の発生の可能性も考慮し,手術の目的にあった術式を選択することが必要であると考えられた.

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