日本臨床外科学会雑誌
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Omphalomesenteric bandに起因した乳児腸軸捻転症の1例
福井 貴巳山森 積雄古市 信明三沢 恵一大橋 広文
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キーワード: Meckel憩室
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2000 年 61 巻 11 号 p. 2988-2992

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抄録

症例は7カ月,男児.主訴は胆汁性嘔吐と腹部膨満.現病歴は4日前より胆汁性嘔吐と腹部膨満をきたし, 1993年8月24日入院した.腹部は緊満し,著明な鼓腸を認めた.腹部単純写では拡張した小腸および鏡面像を認めた.注腸造影検査では結腸の走行異常・通過障害は認めなかった.小腸イレウスと診断し,同日緊急開腹術を施行した.拡張腸管末端部,回盲部より約20cm口側にMeckel憩室を認め,その先端にOmphalomesenteric bandの遺残を認めた.拡張した腸管はbandを軸として反時計回りに回転し, bandがMeckel憩室起始部および肛門側回腸を絞扼していた. bandを可及的臍側で切除し, Meckel憩室を含め回腸を約10cm切除し端々吻合した.
Omphalomesenteric bandの組織所見はbandの憩室側では内腔を有する粘膜と固有筋層を認め,臍側では拡張した血管と不完全な筋層を認めた.

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