日本臨床外科学会雑誌
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異時性に肝転移,脾転移,腹膜播種をきたした巨大gastric stromal tumor (uncommitted type) の1例
吉田 貢一山村 浩然山田 哲司北川 晋中川 正昭車谷 宏
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キーワード: 胃腫瘍, 転移
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2000 年 61 巻 11 号 p. 3103-3108

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抄録

症例は66歳女性,腹部腫瘤を主訴に来院.腹部CTで,胃体部より発育し左肋弓下から下腹部に至る巨大な腫瘤を認める.平滑筋肉腫を疑い手術を施行した.切除標本は30×20×17cm, 重量3274g, 腫瘍は胃体上部粘膜下層から漿膜下に存在し,内部に出血壊死を伴っていた.病理組織学的所見は,紡錘形異型細胞が増生し,細胞密度が高く,核分裂像が強倍率1視野あたり1個程度認め,免疫組織学的にはvimentin, CD34, c-kit陽性で,筋系,神経系マーカーは陰性であったため,胃のgastrointestinal stromal tumor (以下, GIST), uncommitted typeと診断した.術後7カ月目に肝転移,脾転移,腹膜播種をきたした.
uncommitted type GISTの病態はまだ明らかになっておらず,悪性度や転移形式の解明のため症例の蓄積が期待されている.私達は高い悪性度を有すると推測される巨大な胃のGIST症例で術後早期に再発した1例を経験したので報告する.

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