日本臨床外科学会雑誌
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前上膵十二指腸動脈瘤破裂をTAEにより止血しえた1例
田中 正文初瀬 一夫相原 司大渕 康弘渡邉 覚文望月 英隆
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2000 年 61 巻 12 号 p. 3239-3242

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抄録

症例は80歳,男性.右上腹部痛を主訴として近医受診.急性腹症の診断にて当院紹介緊急入院.入院時,収縮期血圧70mmHgとショック状態で,右上腹部に圧痛および筋性防御を認めた.腹部超音波で胆嚢の腫大と胆嚢壁の肥厚,胆石および腹水を認めた.腹部造影CTで膵頭部領域が不整に造影される所見を認め,後腹膜出血を疑った.緊急腹部血管造影を施行したところ,前上膵十二指腸動脈瘤破裂と診断され,プラチナコイルで流入動脈を塞栓・止血した.以後 全身状態は改善した.18病日の腹部CTでは膵頭部の腫瘤と総胆管結石を認め,随伴性膵炎が動脈瘤の成因として関与したものと考えられた.52病日に胆嚢摘出術,総胆管切石術, T-tubeドレナージ術を施行した.前上膵十二指腸動脈瘤破裂に対しプラチナコイルによる塞栓・止血で救命しえた1例を報告した.

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