2000 年 61 巻 3 号 p. 587-594
高齢社会に移行しつつあるわが国では,医療費の抑制が必須とされ,その一つの対策にDRG (diagnosis related groups)/PPS (prospective payment system) の導入が注目されている.診断群分類調査研究班・消化器外科グループでは,消化器外科疾患におけるDRG/PPS導入の妥当性の検討を目的として,全国11外科施設に胆石症で入院した患者の治療費を調査した.胆嚢胆石症の手術では,腹腔鏡下胆摘術は開腹胆摘術,および腹腔鏡下胆摘術から開腹胆摘術にコンバートした手術に比べて有意に低額であった.術後に合併症を伴うと,注射・検査・処置・入院料が高くなり,総入院費が有意に高くなった.また術後合併症のない腹腔鏡下胆摘術の入院費用は施設によって53万円から93万円と大きな差があり,その原因として入院期間の長短が大きく影響していた.良性疾患の胆嚢胆石症では治療経過を一定することでPPSを適応できる可能性がある.