日本臨床外科学会雑誌
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Marlex meshのinlay graftにより修復した閉鎖孔ヘルニアの1例
平 成人曽我 浩之宮口 直之小島 茂嘉
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キーワード: 閉鎖孔ヘルニア, 腸閉塞
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1062-1065

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抄録

患者は88歳の女性.右下腹部痛と嘔吐を主訴に来院した.過去に2回,右閉鎖孔への腸管のヘルニア嵌頓による腸閉塞の既往があり,いずれもイレウス管による腸管減圧で嵌頓解除されている.今回は3回目の右閉鎖孔への腸管嵌頓であり,手術を施行した.開腹すると回腸末端より約100cm口側の小腸が右閉鎖孔へ嵌入していた.還納は容易であり,腸管に虚血所見を認めなかった.ヘルニア門径は8mmであり,ヘルニア嚢を腹腔側へ反転し,切開を加え閉鎖孔を明らかにした.ヘルニア修復はBard® Marlex® meshをトリミングの後,閉鎖孔を覆うように縫着固定して修復するinlay graft法で行った.術後経過は良好で合併症なく14日目に退院した.本法は周囲組織に全く緊張をかけることなく,また閉鎖動静脈や閉鎖神経を圧迫することのない安全確実で容易な修復法であり,極めて有用と考えられた.

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