日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
卵巣動脈が栄養動脈と考えられた後腹膜平滑筋肉腫の1例
広松 孝小林 建仁所 昌彦太田 俊介近松 英二徳丸 勝悟
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 61 巻 4 号 p. 1058-1061

詳細
抄録

症例は64歳女性. 1997年1月より左腰部痛出現.整形外科受診するも異常なしと言われた.当科受診し腹部CT施行したところ,左腎下極付近に8.0×7.0cm大の腫瘤を認めたため,精査目的にて入院.血管造影にて,左結腸動脈の圧排所見を認め,腹部MRIにて後腹膜にT1強調像で低信号, T2強調像で比較的高信号の腫瘤を認めた. US下腫瘍生検にて平滑筋肉腫の診断を得た. 1998年9月7日腫瘍摘出術を行った.腫瘍は下行結腸間膜に覆われ後腹膜に存在し,他臓器浸潤はみられず,栄養動脈である卵巣動脈を取り囲むように存在していた.腫瘍と卵巣動静脈を合併切除した.病理所見は紡錘形細胞が渦巻き状構造をとっており,平滑筋肉腫と診断された.化学療法は施行していない.術後経過は順調で第16病日に退院した.後腹膜平滑筋肉腫は本邦でも100例程しか報告例がなく,その発生母地に関しては興味深い.若干の文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top