日本臨床外科学会雑誌
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バセドウ病の甲状腺亜全摘術に対する超音波駆動メスの有用性
高見 博池田 佳史
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2000 年 61 巻 4 号 p. 837-840

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抄録

バセドウ病に対する甲状腺手術を,最近開発された超音波駆動メス(ハーモニック・スカルペル®,ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル社)を用いて行い(ハーモニック法),従来の鉗子で圧挫しながら鋏で切離するコッヘル法と,その臨床的有用性を比較した.バセドウ病に対し,甲状腺機能を正常化させた状態でハーモニック法(31例),コッヘル法(14例)で甲状腺亜全摘術を施行した.両群ともに,甲状腺切除重量を統計学的にマッチさせた.ハーモニック法は手術時間が短く,甲状腺組織の残置量が少なく,術後のドレーン抜去日は早かった.特に,術中出血量,術後総出血量はハーモニック法ではそれぞれ58±61ml, 50±42mlであり,コッヘル法の144±108ml, 137±118mlより有意に (p=0.0121, p=0.0237) 少なかった.術後合併症は両群で認められなかった.以上より,ハーモニック・スカルペルを用いた甲状腺亜全摘術は臨床的に有用な手技と考えられた.

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