日本臨床外科学会雑誌
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腹腔鏡下虫垂切除術の検討
加藤 貴史村上 雅彦亀山 眞一郎大塚 耕司斉藤 肇普光江 嘉広草野 満夫
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2000 年 61 巻 4 号 p. 841-845

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抄録

1997年4月から1999年3月の間に施行した腹腔鏡下虫垂切除術 (laparoscopic appendectomy, 以下LA) 27例と,開腹虫垂切除術 (open appendectomy, 以下OA) 30例を比較し, LAの有用性を検討した.その結果,手術時間に有意差はみられず, LAでは出血量は有意に少量で,ドレーン留置期間,術後入院期間は有意に短縮し,術後の鎮痛剤投与を必要とした症例は有意に少数であった.また,術後合併症では,症例数に有意差はみられないものの, LAでは腹腔内膿瘍,創感染などの合併症はなかった.一方,保険請求点数の比較では,手術点数はLAで有意に高額であったが,総請求点数としては入院期間の短縮に相殺されて有意差はみられなかった.以上より, LAはOAに比して,医療費の面では差がみられないが,術後のquality of lifeの点で優れており,患者にとっての福音と成り得ると思われた.

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