日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌乳腺転移の1例
宇田 憲司金 仁洙室 雅彦井谷 史嗣金子 晃久佐々木 寛渡辺 和彦成末 允勇
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2000 年 61 巻 4 号 p. 902-905

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抄録

乳腺に他臓器の癌が転移する事は稀であり,なかでも大腸癌の乳腺転移は極めて稀である.今回われわれは,大腸癌乳腺転移の1例を経験したので報告する.患者は72歳,女性で1996年6月,下行結腸癌(stage IV)に対し左半結腸切除術を受けた. 1997年9月,肺転移を認めた. 1998年9月,右乳房に急速に増大する境界明瞭な腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診でclass V (adeno carcinoma)であった.大腸癌乳腺転移を疑い1998年9月,腫瘍を摘出した.腫瘍は直径1.8cmで被膜を有していた.病理組織学的には中分化型腺癌で乳管や小葉内に癌の増殖はなく転移性乳癌と診断した.さらに病理組織像が前回手術した大腸癌と類似していたこと,乳腺腫瘍と大腸癌で免疫組織化学染色所見が一致したことから大腸癌乳腺転移と診断した.患者は,肺転移の増悪により1999年4月死亡した.

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