胃軸捻転症は乳幼児に好発する疾患で,成人発症例は比較的稀である.今回その1例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.主訴は上腹部痛,嘔吐.胃内視鏡検査では,変形強く,幽門部まで到達できず,腹部CTにて胃が著明に拡張しており胃軸捻転症と診断した.内視鏡的整復を試みたが,不完全であり,手術治療を行った.胃は短軸,長軸共に捻転していた.食道裂孔ヘルニアは認めなかった.胃を整復し腹壁に固定した.内視鏡により整復され以後再発をみないとの報告もあるが,本症例のように整復困難な症例では,今回採用しなかったが,腹腔鏡下整復術も念頭に置くべきであると考えた.