日本臨床外科学会雑誌
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馬蹄型を呈した食道平滑筋腫の1例
小田 泰崇立山 健一郎角 泰廣吉田 直優尾関 豊
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2000 年 61 巻 4 号 p. 926-931

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抄録

症例は29歳,男性. 1990年7月,検診で胸部X線の異常陰影を指摘され,下部食道粘膜下腫瘍の診断で経過観察されていた. 1997年12月,腫瘍の増大を認めたため当院へ紹介された.食道造影で下部食道左壁に約5cm大の陰影欠損を認めたが内視鏡検査では潰瘍は認めなかった.胸部CT検査では下部食道左壁中心に馬蹄型を呈する低吸収域を認めた.食道平滑筋腫と診断し手術を施行した.左第7肋間で開胸すると,腫瘤は食道の左壁中心に馬蹄型を呈し胸腔内に突出していた.周囲組織への浸潤は認めず粘膜を損傷することなく核出術を施行しえた.摘出標本は大きさ7.5×5.0×5.Ocm,割面は淡黄色充実性であった.病理組織学的に平滑筋腫と診断した.
下部食道の馬蹄型を呈する粘膜下腫瘍は平滑筋腫に特徴的な所見と考えられ,食道・胃機能温存のため可能な限り核出術を試みるべきと思われる.

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