日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
5'-DFURの副作用と考えられた大球性貧血の1例
豊田 和広中塚 博文眞次 康弘石崎 康代大城 久司
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 61 巻 5 号 p. 1151-1154

詳細
抄録

胃癌術後に5'-DFURを投与し大球性貧血を来した症例を経験した.症例は69歳,男性.胃癌 (Stage I B) の診断で幽門側胃切除術を施行した.術後約1カ月より5'-DFURの内服を開始した.開始後20週目にはRBC 172×104/mm3, Hb 7.3g/dl, MCV 127.7flと著明な大球性貧血を来した.ビタミンB12, 葉酸は正常以上あり,貧血の原因は5'-DFURの副作用と考え投与を中止した.投与中止により貧血は改善した.またピリミジン系経口抗癌剤投与症例20例の末梢血液検査の変化を検討した.投与後のMCV値は投与前と比較し有意に上昇していたが,いずれの症例も慢性的な変化であり急激な貧血を来したのは提示した症例のみであった.消化器癌などの術後の補助化学療法として,ピリミジン系経口抗癌剤が使用されることは多い.投与例では定期的な血液検査が必要で,貧血が認められれば速やかに中止すべきと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top