日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸狭窄で発症した前下膵十二指腸動脈瘤破裂の1例
水上 泰延長嶋 孝昌生田 宏次長谷川 雅彦伊藤 之一吉崎 堅一
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2000 年 61 巻 5 号 p. 1208-1212

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抄録

術前膵癌による十二指腸狭窄が疑われたが,病理学的に膵十二指腸動脈瘤の破裂による狭窄と診断された症例を経験した.症例は51歳,男性.平成6年8月頃より嘔吐出現し,腸閉塞の疑いにて紹介入院.上部消化管造影にて十二指腸下行脚に狭窄を認めた.血管造影にて前下膵十二指腸動脈の途絶を認めたことより,膵頭部癌による十二指腸狭窄を疑い,手術を施行した.膵頭部に腫瘤を触知し,その部位に結腸間膜が巻き込まれていることより膵癌と診断し,膵頭十二指腸切除および右半結腸切除術を施行した.病理組織学的には,拡張した前下膵十二指腸動脈は血栓で充満し, Elastica van Gieson染色にて内弾性板・中膜・外膜は完全に断裂していた.動脈瘤が破裂し,血腫の線維化のため,十二指腸狭窄を起こしたものと考えられた.血栓による動脈の途絶像が術前膵癌との鑑別を困難にさせた.

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