日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸原発神経鞘腫の2例
鶴井 裕和渡辺 明彦佐道 三郎山田 貴頼木 領楠本 祥子仲川 昌之
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2000 年 61 巻 5 号 p. 1213-1216

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抄録

症例1は61歳,女性.平成7年より原因不明の背部痛にて当院内科にて経過観察されていたが,平成10年8月のCTにて後腹膜腫瘍を指摘され当科紹介.後腹膜腫瘍または十二指腸粘膜下腫瘍と診断し,手術を施行した.腫瘍は十二指腸水平部に発生した粘膜下腫瘍であり,十二指腸の部分切除を行った.症例2は70歳.女性.検診にて腹部腫瘤を指摘され,平成10年10月当科受診した.症例1と同様の診断で手術を施行した.術中所見も症例1と同様であった. 2症例とも摘出標本は弾性硬,薄い皮膜を有し,白色充実性の腫瘍であった.病理組織診断では紡錘形細胞,核の束状,交錯状配列を認め,腫瘍細胞の大きさは一様, mitosisはほとんど認めなかった.免疫染色ではS-100蛋白, NSEが陽性, SMA, desminが陰性で良性神経鞘腫と診断された.十二指腸原発神経鞘腫はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.

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