日本臨床外科学会雑誌
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肝細胞癌に対するPEIT後巨大骨盤内転移を来した1例
奈賀 卓司竹本 大樹川原 洋一郎皆木 真一木村 章彦竹内 勤
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キーワード: 肝細胞癌, 腹膜播種
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2000 年 61 巻 6 号 p. 1591-1594

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抄録

肝細胞癌の播種性転移は比較的稀であり,肝癌の破裂後や, PEIT, 針生検後の合併症としても起こることが知られている.今回, PEIT後に出現した肝細胞癌の巨大骨盤内転移性腫瘍の1例を経験したので報告する.
症例は66歳,男性. S状結腸癌術後1年目の腹部CTで肝S6に腫瘤を認め,精査にて肝細胞癌と診断し, PEITを施行した.約2年後,排尿困難が出現したため来院し,精査を施行した.骨盤CT, MRIにて直腸と膀胱の間の小骨盤を占拠する巨大な腫瘤を認め,大腸内視鏡検査では直腸に2型の腫瘍を認めた.直腸癌を疑ったが,生検では一部に肝細胞癌様のpatternがみられ, AFP値, PIVKA-II値が異常高値を示し,肝細胞癌の腹膜播種を疑い骨盤内臓全摘術を施行した.
肝細胞癌の治療として多くの施設でPEITが施行されている.しかし,稀ではあるが播種性の転移を来すことがあり,注意を要すると思われた.

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