症例は14歳男性でバスケットボール中に急激な腹痛を主訴とした来院した.当初胃軸捻症を疑い,内視鏡による整復を試みたが不成功に終わり,緊急手術となった.胃の一部および脾臓が胸腔内に嵌頓したBochdalek孔ヘルニアであった.ヘルニア嚢は存在せず,ヘルニア門は5×5cmで直接縫合による閉鎖術を行い良好に経過し退院した.新生児期以外のBochdalek孔ヘルニアは比較的稀であり,本邦では本例も含め118例の報告例が認められているが,急激な腹痛を初発症状としたものは僅かにこのうちの12%のみであった.これら若干の文献的考察とともに報告する.