日本臨床外科学会雑誌
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5-FUによる膵癌術後化学療法中に狭心症発作を頻発した1例
豊崎 浩一郎井関 貞文李 俊尚佐藤 元通渡部 祐司河内 寛治
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キーワード: 心毒性, 狭心症
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2000 年 61 巻 8 号 p. 1993-1997

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抄録
5-FUは数多くの悪性腫瘍に対して使用されているが,その副作用として心毒性はあまり指摘されていない.今回われわれは5-FU投与中に狭心症発作を頻発した症例を経験したので報告する.症例は74歳女性,心臓疾患の既往はなく,冠動脈危険因子も無い.平成10年1月膵頭体部癌に対し膵全摘術を施行し,術後22日目より化学療法(FP療法5-FU500mg/day, CDDP 6mg/day)を開始した.投与3日目に胸痛出現し心電図上虚血性変化を認めた. 5-FU中止,酸素投与,亜硝酸薬とCa拮抗薬の投与で消失した.自験例を含む報告例33例の集計では,冠動脈疾患の既往は9例,発作時に心電図上変化を認めなかった症例は11例,心原性酵素の上昇は7例に認め,投与総量と発作の相関関係は否定的であった.また,心停止も3例(うち1例死亡)も報告されており,心毒性を十分念頭においた投与の必要性が示唆された.
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