日本臨床外科学会雑誌
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小腸壊死を伴った腸管嚢胞様気腫症の1例
四万村 司山田 恭司五十嵐 三知郎河合 敬雄大矢 和光山口 晋
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2000 年 61 巻 8 号 p. 2084-2088

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抄録
消化管壁内に含気性嚢胞を多数形成する腸管嚢胞様気腫症の1例を経験した.症例は85歳の男性,腹痛,腹部膨満感を主訴に来院.腹部立位単純X線検査で腹腔内遊離ガス像を認め,腹部CT検査にて腸管壁内に多数の含気性嚢胞を認めた.腸管嚢胞様気腫症を疑ったが,腹部所見で反跳疼痛,筋性防御を認めたため腹膜炎の診断で手術を施行した.開腹時,消化管穿孔は認められず,トライツ靱帯から約2mの小腸より回腸末端までの小腸漿膜下に小気腫が多発し,そのうちの約70cmの小腸が虚血性変化により暗赤色に変色していた。腸管壊死と診断しその部位を含めて小腸を1m部分切除した。術後経過良好にて術後第38病日に軽快退院となった.腸管嚢胞様気腫症は症状は無いか、または軽度の症例が多く、酸素療法の有効性が報告されているが,本症例のごとく腸管壊死を伴う症例も存在するため外科的療法の適応も含めて文献的考察を加えて報告する.
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