日本臨床外科学会雑誌
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早期胃癌縮小手術症例の術後運動能とQOL
幽門保存胃切除と楔状切除の比較検討
江本 節吉川 澄道清 勉藤川 正博藤井 眞濱田 栄作
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2001 年 62 巻 11 号 p. 2613-2616

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抄録

早期胃癌に対して幽門保存胃切除(PPG)を施行した5例と懊状切除11例を比較検討した.手術適応は,術前EUSにて深達度がMである事に加え, PPGではM領域で30mm以下の分化癌,模状切除では30mm以下で境界明瞭な隆起・平坦型病変もしくは15mm以下で潰瘍疲痕を伴わない陥凹型病変とした.術後のQOLとして,経口摂取量の変化,体重の推移,臨床症状の有無,内視鏡所見,術後運動能を検討した.経口摂取量や体重の推移はPPGでは術前のレベルまで回復したのは1例のみであったが,模状切除では11例中10例が術後6カ月目にはほぼ術前のレベルまで回復した.食後のつかえ感や胃石形成をPPGでは高率に認めたが模状切除では認めなかった.アセトアミノフェン法を用いた術後の運動能では, PPGでは健常人と差を認めなかったが,模状切除の排出能は健常人に比べると軽度遅延していた.早期胃癌の縮小手術として,懊状切除のQOLは, PPGよりも良好に保たれていた.

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