症例は25歳,女性.平成8年,注腸X線検査にて潰瘍性大腸炎の疑診をされていた.平成12年4月18日海外渡航帰国後から10行/日以上の水様性下痢, 38°C以上の発熱,腹痛あり4月28日当院紹介入院となった.血便が顕著でなかったが潰瘍性大腸炎と診断し,保存的治療を開始した.入院4日目に腹膜刺激症状を認め,腹部X線像にて拡張した大腸ガス像を認めたため, toxic megacolonによる穿孔性汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.横行結腸は著明に拡張しており盲腸,横行結腸, S状結腸に小穿孔を認め,結腸亜全摘,回腸人工肛門造設術を施行した.病理組織所見は盲腸,横行結腸, S状結腸にUl-III～IVの潰瘍を認めた.術後,創感染,癒着性腸閉塞を合併したが保存的治療にて軽快し7月11日退院した.
潰瘍性大腸炎の穿孔は比較的稀で,自験例を加え文献的に検索しえた本邦報告例25症例を検討し報告する.
