日本臨床外科学会雑誌
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腸重積を合併した虫垂粘液嚢腫の1例
上松 俊夫北村 宏岩瀬 正紀久世 真悟山下 公裕小倉 廣之
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2001 年 62 巻 11 号 p. 2720-2723

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抄録

症例は58歳の男性で,主訴は腹痛.右側腹部に腫瘤を触知した.腹部単純X線検査で小腸niveauを認めた.注腸造影検査で上行結腸に蟹爪様の途絶を認め,腸重積と診断した.注腸にて整復されたが盲腸内に半球状の隆起像が残り,虫垂根部は造影されなかった.大腸内視鏡検査で,盲腸内に粘膜下腫瘍を認めた.腹部超音波, CTの検査で嚢胞性病変を認め,虫垂粘液嚢腫と診断した.腹腔鏡下に観察すると,後腹膜に緩く固定されて腫大した虫垂が盲腸底部に重積しているのが観察された.腹腔鏡補助下に盲腸部分切除術を施行した.虫垂の大きさは12cm×3cm×3cmで,内腔には粘液が充満していた.病理組織所見では,粘液性嚢胞腺腫の診断であった.
腸重積を合併した虫垂粘液嚢腫に対して腹腔鏡下手術は根治性と低侵襲性の両面で有用であると思われた.

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