日本臨床外科学会雑誌
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自然気胸に対する胸腔鏡手術後再発例の臨床的検討
岩切 章太郎古川 幸穂佐藤 寿彦寺本 晃治佐原 寿史岡崎 強塙 健山下 直己松井 輝夫桑原 正喜松原 義人
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2870-2873

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抄録

現在,自然気胸に対する胸腔鏡手術(以下TS)は外科治療の主流であるが,開胸手術と比較して術後再発率の高いことが問題である. 1994年6月~1999年12月に当科で施行した自然気胸に対するTS症例156例(167側)のうち,主に再発・再手術例について検討し,再発原因について考察した.再発は22側(13.2%)にみられた.このうち再手術を施行した16例では,初回手術時のブラ・ブレブ切除線近傍に再発原因が推定された症例が13例(81.2%)と多数を占めた. Kaplar-Meier法にてTSの再発時期を検討してみると早期再発と晩期再発がみられた.さらにその再発様式には両者間で違いがみられ,早期再発においては切除線近傍に再発原因が推定されたのが12例中11例(91.7%)と,晩期再発の4例中2例(50%)より有意に高値であった.これは全再発・再手術例の68.7%を占めた.これらの事実より, TSでは初回手術時に切除線近傍の肺胸膜を補強することにより再発を防止できると考えられた.

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