日本臨床外科学会雑誌
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総腸間膜症に合併したS状結腸軸捻転症の1例
伊藤 康博山本 裕夏 錦言高原 哲也飯田 修平
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2994-2997

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抄録

総腸間膜症に合併したS状結腸軸捻転症(以下,本症と略す)の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は75歳,男性で,腹痛,嘔気,嘔吐を主訴に来院した.腹部単純X線写真上著明に拡張した結腸ガス像を認め,さらに注腸造影検査においても拡張した結腸と鳥の嘴状陰影(brid beak's sign)を認めた.大腸内視鏡により腸管内容を吸引,減圧し,症状も改善したが, 2日後に再発したため, S状結腸切除術を施行した.手術所見では,拡張したS状結腸を認め,下行結腸は後腹膜に固定されておらず,同様に盲腸から上行結腸にかけての後腹膜への固定も不十分であったたが,一部腹膜への線維性の癒着を呈していた.切除したS状結腸の病理組織学的検索では, Auerbach神経叢のganglion cellに異常を認めなかった.総腸間膜症に合併する本症の本邦報告例は,自験例を含め6例である.

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