日本臨床外科学会雑誌
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乳腺粘液癌術後5年目に切除した乳癌肝転移の1例
中野 芳明門田 卓士衣田 誠克東野 健高橋 秀典岡本 茂
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3012-3016

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抄録

症例は73歳女性.左乳癌(混合型粘液癌)の1年目のルーチン上腹部超音波検査で径8mmの肝腫瘤を認めたが,質的診断ができず,経過観察していた.術後5年目より急速に増大したため,腹部血管造影検査を行い乳癌肝転移と診断した.他臓器に転移を認めず,腫瘤は単発であったため,肝部分切除を行った.病理組織学検査では,乳頭腺管癌であった.粘液癌には,純型と混合型があり,混合型の予後は浸潤性乳管癌と同程度であることから転移が疑われたら,手術時の病理組織標本を見直し,純型か混合型かを確認することが必要である.経過観察中に倍加時間が急に短くなる症例(本症例は12カ月から50カ月までは18.1カ月, 51カ月から64カ月までは4.4カ月であった)があり転移が疑われたら頻回の検索と血管造影などの積極的な検査が必要であると思われた.

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