日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢摘出術後の良性胆道狭窄との鑑別が困難であった中下部胆管癌の1例
吉本 裕紀清水 良一佐伯 俊宏林 秀知原田 俊夫和田守 憲二
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キーワード: 胆管癌, 胆道狭窄, 胆道造影
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3026-3029

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抄録

症例は46歳男性.初回入院時亜急性胆嚢炎に対し,開腹胆摘術を施行した.術中胆道造影では総胆管の軽度変形はあるものの急性炎症の波及によるものと判断した.術後3カ月目に閉塞性黄疸のため入院,精査後,胆摘に伴う良性胆道狭窄症の診断にて手術を行った.術中迅速でリンパ節転移陽性の胆管癌と診断されたため, PpPDを施行した.病理学的には粘膜下を中心とし神経浸潤の著明な中分化型腺癌であった.胆嚢摘出術3カ月で胆道狭窄をきたし,良悪性の判断に難渋した症例を経験した.胆道狭窄症例に直面したときには,容易に非観血的治療を選択することなく,悪性疾患の可能性も十分に考慮した適切な治療法を選択しなければならないと思われた.

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