日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢扁平上皮癌の1例
河野 哲夫日向 理本田 勇二山田 治樹松田 政徳
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キーワード: 胆嚢扁平上皮癌
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3030-3034

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抄録

比較的稀な胆嚢扁平上皮癌の1切除例を経験したので報告する.症例は発熱を主訴とした77歳の男性で,腹部超音波検査・腹部CT検査にて,肝右葉前区域を中心に肝外に突出する大きな腫瘍を認めた.肝臓への直接浸潤を伴う胆嚢癌と診断し,肝拡大右葉切除術を施行した.手術所見では, S0, Hinf3, H0, Binf0, P0, N(-), Stage III, Cur Aであった.病理組織学的検査では,腺癌成分は認めず,すべて扁平上皮癌であった.術後4カ月目に十二指腸の局所再発と肝転移で死亡した.
今後予後改善のためには,胆管浸潤や遠隔転移が少なく局所浸潤傾向が強いという胆嚢扁平上皮癌の特徴から,たとえ進行癌であっても,治癒切除が可能な症例においては,積極的に拡大手術を施行することが必要であると思われた.

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