日本臨床外科学会雑誌
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両側炎症性乳癌の下行結腸転移の1例
江川 智久佐藤 宏喜古内 孝幸内田 智夫古川 和男佐久間 正祥向井 万起男
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2001 年 62 巻 2 号 p. 461-466

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抄録
乳癌の大腸転移は臨床では稀である.大腸は他臓器からの転移を受けにくく,転移性大腸癌を経験することは少ない.両側炎症性乳癌の下行結腸転移に対し左半結腸切除術施行し,術後化学療法により2年以上生存が得られている1例を経験したので報告する.症例は, 42歳女性.両側乳房の硬結を自覚するも放置し,その5カ月後腹部膨満を主訴に初診した.両側炎症性乳癌・両腋窩リンパ節・左鎖骨リンパ節転移が疑われ入院.注腸造影で下行結腸に狭窄像を認め,原発性大腸癌の疑いで,左半結腸切除術を施行した.摘出標本の病理組織像で乳癌の大腸転移と診断した.術後補助化学療法として, CAF療法を施行しPRを得た.現在術後2年6カ月が経過したが生存している.本邦の乳癌大腸転移の報告は少なく,検索しえた限り本症例を含めて16例である.文献学的考察を含め報告する.
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