2001 年 62 巻 2 号 p. 387-391
症例は39歳男性.腹痛・腹満感主訴に救急外来に搬入された.胃背側に画像的に約 20cm × 20cm × 6cm の多胞性嚢胞と腹腔内出血認め, 緊急血管造影検査・塞栓術後入院となった. その後, 腹部エコー・上部消化管内視鏡・逆行性胆管膵管造影・造影腹部CT ・MRI の諸検査を行っていったが確定診断にいたらず, 腫瘍摘出術を行った. 術後の病理組織学的結果にて,胃平滑筋肉腫が疑われたが,免疫組織学的結果にてGISTと診断された.多胞性変化を生じた症例はきわめてまれであり,今後の術前診断の参考になるかと思われ若干の文献的考察とともに報告する.