日本臨床外科学会雑誌
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胃原発絨毛癌の1例
稲木 紀幸吉羽 秀麿芝原 一繁船木 芳則
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キーワード: 胃原発絨毛癌, 胃癌
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2001 年 62 巻 3 号 p. 678-683

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抄録

胃原発絨毛癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.食欲低下,発熱,下血を主訴に入院した.胃内視鏡検査,胃透視にて,胃体上部後壁に潰瘍と空洞を伴う巨大な腫瘍を認めた.腹部CT検査にて,肝両葉に多発転移巣および腫瘍の膵尾部への直接浸潤を認めた.胃肉腫および敗血症と診断し,貧血,低蛋白血症,敗血症を改善するため手術を施行した.新生児頭大の腫瘍が胃体上部後壁小彎側から壁外性に存在し,膵尾部に直接浸潤していた. T4N3P0H3M0 Stage IVb (規約第12版)で,噴門側胃切除,脾摘,膵体尾部切除術を施行した.切除標本の病理組織検査にて絨毛癌と診断した.腺癌との混在は認めなかった. MTX, ACTD, CPAによる化学療法を施行したが無効であり,肝,肺,リンパ節転移が増悪し, DICを併発し術後76日目に死亡した.本疾患は極めて予後不良のため,出血性に富む胃巨大腫瘍の場合,本疾患も念頭に置いて治療に当たるべきだと思われた.

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