日本臨床外科学会雑誌
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Frey手術後に膵管空腸吻合部からの出血をきたした1例
黒田 武志矢田 清吾橋本 拓也宮内 隆行倉立 真志
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2001 年 62 巻 3 号 p. 786-789

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抄録

慢性膵炎に対するFrey手術は,手術侵襲が少なく疼痛軽減効果も良好な有用な治療法の1つである.今回, Frey手術後に膵管空腸吻合部からの出血をきたした1例を経験した.患者は72歳,男性. 1999年5月27日,慢性膵炎に対しFrey手術を施行した.術後13日目に一過性の意識低下が認められ,翌日に大量下血,血圧低下を認め,腹部CT, 腹部血管造影,胃十二指腸内視鏡検査を施行したが,出血部位の同定は困難であった.さらに下血,血圧低下が持続したので術後18日目に再開腹術を施行した.吻合部空腸を開放すると膵管空腸吻合部に潰瘍がありここから出血が認められたため縫合止血した.総肝動脈が潰瘍部瘢痕組織内に埋没しており,出血の原因と考えられたため結紮した.再手術後は,経過良好で退院した. Frey手術後に消化管出血をきたした場合,膵管空腸吻合部よりの出血を考える必要があると思われた.

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