日本臨床外科学会雑誌
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乳房温存療法後,画像診断にて局所再発と鑑別困難であった異物型巨細胞肉芽腫の1例
太田 大介日馬 幹弘海瀬 博史中山 俊青木 達哉小柳 〓久芹澤 博美松永 忠東
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1146-1150

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抄録

症例は70歳女性.平成8年8月,右C領域の腫瘤を主訴として来院.同年12月にT2a, N0, M0, Stage II乳癌の診断で当科にて乳房円状部分切除術およびLevel II郭清を施行した.切除断端は陰性で,組織型は充実腺管癌, n0, f (+), ly (-), v (-)であった.放射線療法は本人の希望にて施行せず,遠方のため近医での外来通院となった.その間補助療法は施行されず,平成10年10月創部の硬結を主訴に再来した.マンモグラフィにて,同部位に一致した集簇型微細石灰化像と,超音波上の腫瘤像を認めたため,残存乳房内の局所再発と診断し,外来にて局麻下に乳腺部分切除術を施行した.術後の病理組織検索においては約1.5cmの腫瘤を認めるも,癌細胞は認められず,間質組織に瀰漫性に広がる微細石灰沈着が著明な巨細胞肉芽腫であり,ヘモジデリン貪食細胞の集団も認められた.現在再発の徴候は認められていない.

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