2001 年 62 巻 5 号 p. 1182-1187
異物による小腸穿孔は稀であり術前診断も困難である.今回魚骨,義歯, press through package (PTP)による小腸穿孔の3例を経験したので報告する.症例1は腹部CTで小腸壁の肥厚像を認めたが診断には至らず急性虫垂炎を疑い手術を行った.開腹すると空腸壁に魚骨(2.3cm)が貫通し,魚骨を抜去した後腸管壁を縫合閉鎖した.症例2は汎発性腹膜炎となっており, X線・CTで腸管内に異物陰影を認めたため義歯による小腸穿孔と診断できた.手術所見では義歯(6cm)のブリッジ部分が回腸壁を穿孔しており,回腸部分切除を行った.症例3はイレウスのため入院,腹膜刺激症状なくX線・CTでも小腸拡張像のみであった.保存的治療で改善したが小腸造影で回腸遠位部が狭窄していたため手術を行った.手術所見では回腸末端より50cm口側でPTP (1.5×1.5cm)が回腸壁を穿孔し大網が被覆していたため回腸部分切除を行った.