抄録
症例は59歳男性で,平成4年3月18日の51歳時,直腸癌と診断し術前検査で遠隔転移が認められなかったため,根治度D3の低位前方切除術を施行した.抗癌剤を内服中の同年10月にCTで肝S7に転移が発見され,肝部分切除術を施行した.平成7年5月に右肺尖部に転移が生じ,肺部分切除を施行した.続いて平成9年8月に前回切除部の近傍の上葉に多発転移巣が認められ,右上葉切除を施行した.以後慎重に検査を施行しているが平成12年8月現在,肝にも肺にも転移を認めず健在である.
直腸癌治癒切除後の異時性の肺・肝転移例には積極的な手術治療が有益であると考えたので報告する.