日本臨床外科学会雑誌
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憩室炎によるS状結腸皮膚瘻の1例
尾身 葉子上 奈津子上野 貴史川端 英孝北 嘉昭田中 弦平田 勝田中 潔
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2001 年 62 巻 7 号 p. 1686-1690

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抄録
大腸憩室炎による皮膚瘻は,大部分が大腸手術後に出現する.われわれは,大腸手術の既往のない憩室炎によるS状結腸皮膚瘻を経験したので報告する.症例は67歳女性.左鼠径部の発赤腫脹を主訴に来院した.膿瘍の所見があったので,同部位を切開したところ,便の排出が認められ,大腸皮膚瘻と診断し,入院となった.瘻孔造影,腹部CTより,皮膚開口部とS状結腸との交通が認められ, S状結腸皮膚瘻と診断した.手術の既往はなかった. S状結腸部分切除,瘻孔切除を施行した.切除標本では, S状結腸に複数の憩室が認められ,病理組織学的検査からも憩室炎にもとつくS状結腸皮膚瘻と診断された.術後10カ月が経過した現在,瘻孔は治癒し,再発は認められていない.
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