日本臨床外科学会雑誌
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小腸MALTリンパ腫の1例
有賀 浩子小池 秀夫
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キーワード: 小腸MALTリンパ腫
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2001 年 62 巻 9 号 p. 2210-2214

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抄録
症例は56歳の女性. 3年前から時に右下腹部痛あるが放置し, 1998年6月に右下腹部痛・発熱・下痢が続き症状悪化したため当院紹介となった.右下腹部に圧痛と強い腹膜刺激症状があり,腹部CT検査所見で回腸末端部の壁肥厚像を認め,回腸潰瘍による腹膜炎を疑い同日開腹した.虫垂に炎症所見は無く,回腸末端から口側10cmにかけて壁は固く肥厚し充血していたため回盲部切除術を施行した.切除標本では全周性に粘膜面の粗造と浅いびらんを形成し,病理組織所見では粘膜から粘膜下組織にかけて異型リンパ球の増加を認め,免疫組織化学検査で小腸MALTリンパ腫と診断された.治癒切除の判断が困難で術後化学療法を施行し退院,現在再発所見は認められていない.小腸原発MALTリンパ腫は比較的稀とされており,文献的考察を含め報告する.
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