日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
マイクロウェーブ凝固壊死療法後に発症した肝結腸瘻の1例
片桐 敏雄高木 純人金子 弘真田村 晃村国 均柴 忠明
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 62 巻 9 号 p. 2255-2259

詳細
抄録

転移性肝癌に対するマイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT)施行後に発症した稀な合併症と考えられる肝結腸瘻の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性.下血を主訴に当院来院.直腸診にて下部直腸に腫瘤を触知,細胞診の結果直腸癌と診断した.術前腹部CTでは,肝S4, S5, S6に計5個のlow density area (LDA)を認め,転移性肝癌と診断した.下部直腸癌に対し低位前方切除術を行い,肝転移巣に対し超音波下にMCTを施行した.術後第3病日より38度台の発熱が続き,腹部CTにて肝臓に鏡面像を伴う数個のLDAを認めた. MCT後に発症した肝膿瘍と診断し,経皮経肝膿瘍洗浄ドレナージを行った.その後症状軽快したため退院となったが,術後3カ月目の大腸内視鏡にて横行結腸に瘻孔開口部を認め,造影にて,肝内膿瘍腔に連続する瘻孔が確認された.無症状のため外来通院となったが,平成12年5月再発死した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top