日本臨床外科学会雑誌
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比較的早期の原発性胆嚢管癌の1例
加藤 崇黒崎 功興梠 建郎塚田 一博畠山 勝義
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2001 年 62 巻 9 号 p. 2275-2278

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抄録

Farrarの基準を満たす胆嚢管癌の1例を経験した.症例は63歳の男性で,胆石による疵痛発作にて緊急入院となった.
Magnetic resonance cholangiopancreatographyおよび逆行性胆管膵管造影にて3管合流部に一致して陰影欠損を認めた.胆嚢管癌が最も疑われたが,確定診断には至らなかった.開腹時肉眼所見では,胆嚢管癌は明らかであり,胆嚢全層切除+胆管切除+リンパ節郭清を行った.癌の表層進展を考慮し,肝門部から膵内胆管に及ぶ広範囲の胆管切除を行った.組織学的に腫瘍は傍神経浸潤 (grade 2) と漿膜下層への浸潤を示し,かつ膵内胆管へ癌の表層拡大を認めた.定型的な疝痛発作で発症した胆嚢炎でも,思い込みにとらわれず,注意深い画像診断が重要である.

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