日本臨床外科学会雑誌
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術前診断が困難であった残胃胃石による小腸イレウスの1例
嵯峨山 健小野山 裕彦橋本 可成安積 靖友高尾 信太郎中路 太門西藤 勝高橋 応典西村 公志裏川 公章
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キーワード: 残胃胃石, イレウス
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2002 年 63 巻 1 号 p. 122-127

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抄録

残胃胃石によるイレウスは検索した限り自験例を含めて本邦では25例の報告例のみの極めて稀な疾患であり診断に苦慮することが多い.今回,胃潰瘍術後の残胃より発生した胃石による小腸イレウスの1手術例を経験したので報告する.
症例は65歳,男性. 53歳時に胃潰瘍にて広範囲胃切除術, Billroth I法再建術を施行されている.平成11年3月3日イレウスの診断にて入院.イレウスチューブからの造影で楕円形の腫瘤による小腸の閉塞を認め,小腸腫瘍によるイレウスと診断し開腹手術を行った.閉塞部の小腸を切開すると黒褐色の異物を認め,小腸に落下した胃石と診断し,摘出部の小腸に潰瘍形成がみられたため小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好で第24病日に退院した.残胃胃石イレウスは保存的治療が困難であり,全例開腹手術を行っているが,今後条件が整えば腹腔下手術も考慮したい.

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