日本臨床外科学会雑誌
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CT画像が診断に有用であった小腸捻転症の1例
山本 澄治清水 康廣杉山 悟宮出 喜生
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キーワード: CT画像, 小腸捻転症
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2002 年 63 巻 10 号 p. 2467-2470

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抄録

症例は84歳,女性.約2カ月前より上腹部痛,つかえ感,嘔吐を訴え入院した.症状は一時軽快したため退院したが,再び腹部の激痛を訴えるようになり緊急再入院となった.入院時,強い腹痛がみられたが,腹部単純X線検査,血液検査にて特に異常所見はなかった.しかし腹部CT検査にてwhirl signを認め,小腸捻転と診断され,緊急開腹手術を施行した. Treitz靱帯より約60cm肛門側の空腸と横行結腸脾彎曲部の後腹膜にて術後癒着と思われるband形成があり,これが原因で腸間膜が上腸間膜動脈を中心にして捻転していた.捻転部には腫脹,壊死などの所見はなく, bandを切離し,この捻転を整復した.本症は,腹部症状・血液検査・腹部単純X線検査にて特徴的な所見がないため診断に苦慮することが多いが, CT検査が早期診断には有効であると考えられた.

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