症例は57歳,女性.内痔核にて手術施行.その後外来通院していた.肛門部痛あり来院,直腸診にて腫瘤を触知した.腹部CTにて直腸後壁に径4cm大の腫瘤影をみとめ,大腸内視鏡にて直腸Rb後壁に位置した粘膜下腫瘍と診断し,経仙骨的局所切除を施行した.腫瘍の大きさは3.7×3.0×2.8cmで,病理組織学的には免疫学的染色でCD34(+), c-kit(+), α-smooth muscle actin (SMA)(-), S-100(-)であった.以上より直腸gastrointestinal stromal tumor (GIST), uncommitted typeと診断された.核分裂像が高倍率10視野11個と高度のためhigh grade malignancyを示唆され,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除直腸にGISTの残存は認められなかった.経過は良好で術後20病日に退院した.術後1年6カ月が経過するが現在再発の兆候は認められていない.
直腸原発GISTは本邦報告例17例と稀である.治療法は外科的切除が第一となるが術後,局所再発を念頭に置いた厳重なfollow upが必要である.