日本臨床外科学会雑誌
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胃穹窿部に発生し十二指腸脱出をきたした過形成性ポリープの1例
星野 敢永田 松夫渡辺 一男山本 宏田崎 健太郎渡辺 敏
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2002 年 63 巻 11 号 p. 2668-2673

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抄録

症例は50歳,女性.心窩部不快感,黒色便出現にて近医受診となった, 1998年8月11日上部消化管内視鏡検査施行され,易出血性の腫瘍を認めたため,同8月14日精査加療目的にて当科紹介入院となった.上部消化管造影検査・内視鏡検査にて,胃穹窿部後壁に基部を有する腫瘤性病変が,幽門輪を越えて十二指腸球部に脱出しており,腫瘤は体外からの圧迫により胃内に容易に還納された.また前庭部後壁にO-IIc病変を認めた.生検の結果はそれぞれ,過形成性ポリープ(group II)と,低分化腺癌であったため, 1998年8月27日,幽門側胃切除術およびポリープ切除術を施行した.
胃内の腫瘤が十二指腸に脱出する報告は多数認めるが,自験例のように胃の上部に発生した腫瘤が十二指腸に脱出することは比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告した.

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