日本臨床外科学会雑誌
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膵頭部癌との鑑別が困難であった胆道バイパス術後の出血性十二指腸球後部潰瘍の1例
高石 聡山本 義一所 義治関 幸雄
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2002 年 63 巻 11 号 p. 2693-2696

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抄録

症例は55歳,女性.近医で胃潰瘍の加療中,症状が軽快しないため当科を受診.上部消化管内視鏡検査にて上十二指腸角から下行部にかけて,乳頭側3/4周を占める白苔を伴った潰瘍を認めたため入院.腹部超音波検査および造影CTでは膵鈎部に腫瘤を認め,肝外胆管および16番リンパ節の腫脹も認められた.閉塞性黄疸,肝機能異常も出現したため,膵癌あるいは十二指腸癌の可能性も考え,手術を行った.十二指腸下行部および膵頭部は一塊となっており根治切除不能と判断し,十二指腸を球部にて離断し十二指腸球部空腸吻合および胆道バイパスを行った.術後経過は良好で画像上腫瘤は縮小したが, 4カ月後黒色便および貧血が出現したため再手術を行った.十二指腸下行部を切開すると膵側に4cmの潰瘍を認め,中央には血管が露出していたため,膵頭十二指腸切除術を行った.術後経過は良好であった.

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