2002 年 63 巻 12 号 p. 2980-2984
症例は54歳,男性. 1週間続く腹痛と発熱を主訴に当科受診. 15歳時よりvon Recklinghausen病を指摘されていた.精査にて急性虫垂炎疑および汎発性腹膜炎と診断,緊急開腹手術を施行した.開腹すると骨盤内膿瘍を認めたが,原因は回腸腫瘍穿孔(2箇所)であり,虫垂炎は炎症波及による2次的なものと考えられた.回腸部分切除,虫垂切除および洗浄ドレナージ行い手術終了した.免疫組織化学検査において回腸腫瘍はCD34陽性c-kit陰性のgastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断された.
von Recklinghausen病に合併した小腸GISTは本症例が国内20例目と比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.また,小腸GIST穿孔例についても併せて言及する.