日本臨床外科学会雑誌
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総胆管切開切石術後に発症した右肝動脈・肝内胆管瘻による胆道出血の1例
三方 彰喜岩瀬 和裕桧垣 淳田中 靖士高橋 剛上池 渉
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2002 年 63 巻 12 号 p. 3029-3032

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抄録

症例は71歳,女性.総胆管結石症の再発に対して総胆管切開切石術,十二指腸乳頭括約筋形成術を施行した.術後Tチューブからの出血なく,術後17日目, Tチューブを抜去した.術後20日目,血液検査にて貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を施行したが,胃十二指腸に潰瘍は認めず,十二指腸乳頭括約筋形成部からの出血も認めなかった.術後27日目,大量吐血にてショック状態となり,呼吸停止をきたした.心肺蘇生後,緊急大動脈カテーテル検査を施行したところ,右肝動脈前下区域枝から総胆管への造影剤の漏出を認め,コイルおよびスポンゼルを用いて右肝動脈前下区域枝の塞栓を施行した.塞栓術後,血行動態は安定し,肝機能の低下や,肝膿瘍を併発することなく軽快退院した.

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