抄録
症例は34歳,男性. 10年前にvon Willebrand病(以下vWD), type IIAの診断を受けていた.突然の下血と吐血を主訴に当院救急外来受診.上部消化管内視鏡検査にて,胃体上部より出血あり,止血を施行した. 3日後に胸部苦悶感が出現し,胸部X線写真にて,右胸水貯留を認め,胸腔ドレーンを挿入した.血性の排液を認めたが減少傾向なく,外科に依頼があり,緊急手術となった.肺尖部のブラおよび胸壁癒着部より出血がみられたため,肺尖部ブラ切除と胸壁の凝固止血を施行した. vWDは出血傾向を示す疾患として知られているが,様々な病型を含む疾患群であり,症状も治療法も病型によって異なる. vWDは主に一次止血の障害をもたらす遺伝性疾患であり,出血を契機に増悪することがあるため,出血が疑われた場合は一刻も早く止血する事が重要である.